はじめに
私たち診療所の精神科医は、オールラウンドなメンタルヘルスに対応していきたいと思いますが、妊産婦、児童・青年期、老年期に関しては専門的に深く知る機会が成人のそれに比べると少ないと思います。私たちの会には深く洞察して診療しているレジェンドの先生たちがいます。今回はなかなか聞くことができない貴重な講演、シンポジウムが開催されます。児童思春期委員会の皆さん、紫藤昌彦委員長・理事をはじめ、石崎朝世先生、杉村共英先生に多大なる準備をしていただいています。現地での開催となりますので、いろいろと質問できる機会です。会員の先生たちのご参加はもちろんのこと、職員の人たちにもお声をかけてみてください。
会長 芦刘 伊世子
会長 芦刘 伊世子 先生
座長 紫藤クリニック 院長 紫藤 昌彦 先生
王子クリニック 院長
石﨑 朝世 先生
発達障害の特性が明らかで支援が必要であっても、社会的予後が良い方もいるし、逆に特性が軽度であっても、社会的予後が良くない方もいます。子どもの時もいきいきと、大人になってもいきいきと生活するために何が必要か探りたいと思います。
長い経過を診てきた経験からは、新しい知見とは言えませんが、やはり、幼小児期から、愛情をもって受け入れられ、虐待やひどいいじめがない環境が一番大切で、自己肯定感が持てるように応援することが重要といえます。
そのためには本人の支援と共に、家族や支援者の支援も必要です。また、しばしば薬物治療も役に立ちます。
幼小児期からの経過にめぐまれず、大人になっていろいろな問題が大きくなっていても、時間はかかりますが、それを挽回する手立てはあると思います。特性の変化もあります。傷が深い場合、合併障害(二次障害)の治療的対応をしながら、それを少しずつ癒し、少しずつ真の自信、自己肯定感をつけていきます。うまくいかないこともありますが。具体例を挙げ、皆様と思いを共有していければと思います。
座長 紫藤クリニック 院長 紫藤 昌彦 先生
発達心療クリニック 院長
杉村 共英 先生
私は10年ほど前から児童精神科クリニックを営み、同時に児童相談所や児童養護施設の嘱託医、学校の精神科校医などを務めています。子どもの領域に特化する前は、約10年間ほど大学病院や関連病院で成人の急性期の診療(主に入院)に従事してきました。この間は、高校生(と数例の中学生)は診ていましたが、小学生の診療経験はありませんでした。その後、都立梅ヶ丘病院で児童精神科外来を経て、精神科病院で児童思春期病棟を立ち上げと運営を経験して2012年にクリニックを開業しました。
直近10年ほどで発達障害や虐待事案への世間の関心が高まり、また精神科受診への抵抗感の軽減もあって、受診年齢が低くなっています。また児童精神科クリニックが充足していないこともあり、一般の精神科クリニックに受診依頼が入ることも多くなっていると思います。今回は、成人と子どもの両方を経験してきた立場から、児童精神科クリニックでどのような診療が行われているのかを紹介するとともに、子どもを診る上での留意点(薬物療法の意義や方法、告知、保護者や学校との関わり)についてお話ししたいと思います。皆様の日常診療の一助になれば幸いです。
参加希望の場合は、下記「児童青年期シンポジウム開催のご案内」をダウンロードの上、必要事項を記載いただき、7月18日(火)までに東精診事務局あてにFAXまたはメールにてお送りください。
FAX:03‐6382‐5956 e-mail: office@tapc.gr.jp
東精診事務局
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